弊社では、KING OF TIMEの設定代行や運用コンサルティングを通じて、日々多くのお客様からクラウド勤怠に関するご相談をいただいています。
今回は日々の業務で気づいたことや、よくあるご相談内容をもとにKING OF TIMEの「雇用区分設定」について解説します。
特定社会保険労務士・勤怠管理コンサルタント
大旗まや子
KING OF TIME提供元である、ヒューマンテクノロジーズ社に2020年6月に入社後、サポート業務を多数の企業の導入に携わる。
ヒューマンテクノロジーズ社の資格取得の支援を受け、
2023年に社会保険労務士試験に合格。2024年に特定社会保険労務士試験に合格。2025年4月に開業登録。
KING OF TIME(OEM製品含む)の仕様、活用方法など豊富なスキルと社労士としての法的知識を活かし、勤怠管理コンサルを中心に活動。
KING OF TIMEの「雇用区分設定」とは?
KING OF TIMEを導入する際、最初に行う初期設定には「企業設定」「所属設定」「雇用区分設定」「従業員設定」などがあります。その中でも、勤怠集計の根幹となるのが「雇用区分設定」です。
この設定では、正社員、契約社員、アルバイト、パートタイムなど、企業内の働き方(雇用形態)ごとに、集計のルールを詳細に定義します。
雇用区分設定で定義する主な項目
KING OF TIMEでは、以下の項目が設定の柱となります。
- 基本情報: 締め日や日の契約労働時間の設定
- 働き方: 通常の労働時間制のほか、変形労働時間制(1ヶ月・1年単位)やフレックスタイム制の選択
- 休憩ルール: 打刻休憩の許可や、勤務時間に応じた休憩の自動取得設定
- 時間外集計: 残業開始時間(日・週・月単位)や、深夜労働(22:00〜05:00)の扱い
上記5つは必ず設定しなければ、未払賃金の発生や給与計算ミスの発生の原因となります。必ず設定をしましょう。
なぜKING OF TIMEは雇用区分設定が重要なのか
KING OF TIMEでは「とりあえず全員同じ設定でいいや」と安易に設定してしまうと、後々大きなトラブルにつながる可能性があります。
なぜなら、雇用区分設定が間違っていると、日々の打刻データが正しく集計されず、結果として給与計算を誤ってしまうからです。
例えば、以下のような問題が発生しやすくなります。
賃金未払いおよび過払いのリスク
労働基準法に則った残業代計算が自動化できていない場合、意図せぬ賃金未払いが発生し、労働基準監督署からの是正勧告や、離職した従業員からの訴訟リスクに繋がります。逆に、過剰な割増計算は、数千人規模の企業であれば年間で数千万円単位の不必要なコスト増を招くケースもあります。
36協定および労働時間の把握義務違反
2019年4月の働き方改革関連法以降、客観的な記録による労働時間の把握が義務化されました。雇用区分ごとに「法定外残業」「時間外労働」の集計ロジックが誤っていれば、36協定の上限管理機能も形骸化し、コンプライアンス違反を未然に防ぐことができません。
就業規則とシステムの乖離
就業規則には「法定労働時間を超えた場合、割増賃金を支払う」と書かれていても、実際の運用では「所定労働時間(例:7時間30分)を超えた時点から残業代(法定内残業)を支払っている」というケースは少なくありません。
KING OF TIMEでは、この「法定内残業」と「法定外残業」を分けて集計することが可能ですが、設定時にこの定義を明確にしておかないと、正しい集計結果が得られません。
KING OF TIME 雇用区分設定で実務者が押さえるべき項目
KING OF TIMEの設定画面(設定 > 従業員 > 雇用区分設定)には膨大な設定項目が存在します。基本的な設定方法をベースに、実務で特に注視すべきポイントを詳しく解説します。
労働時間制の選択(通常・変形労働・フレックス)
労働時間制の選択では以下の設定があります。自社が運用している労働時間制を必ず選択しましょう。
- 通常労働時間制: 1日8時間、週40時間の原則に従います。
- 変形労働時間制: 1ヶ月単位、1年単位などの変形労働を導入している場合、KING OF TIME側で「週平均40時間」の判定ロジックを正確に組み込む必要があります。特に特定期間の扱いや、休日振替が発生した際の集計ルールは、就業規則との完全な整合性が求められます。
- フレックスタイム制: 清算期間内の総労働時間で判定を行うため、不足時間の繰り越しや、コアタイム欠勤の扱いなどの設定が必要となります。
休憩時間の自動適用と打刻ルールの整合性
「休憩設定」はKING OF TIMEには「スケジュールから自動付与する」「勤務時間に応じて自動付与する」「打刻通りに差し引く」といった選択肢があります。
実務上の注意としては、労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を「一斉に」与えることが原則である点です。
しかし、業種によっては「打刻通り」に設定しないと、実際の休憩時間と乖離が生じ、実労働時間を過少評価してしまうリスクがあります。
所定外労働(法定内残業)と時間外労働(法定外残業)の設定
KING OF TIMEの強みは、残業の開始時間を分単位で設定できる点にあります。そして、所定外労働(法定内残業)と時間外労働(法定外残業)の集計設定は重要になります。
- 所定外労働(法定内残業): 企業の所定労働時間(例:7時間30分)を超え、法定労働時間(8時間)に達するまでの時間。
- 時間外労働(法定外残業): 8時間を超える時間。
多くの企業では、この両者を同じ「残業」として処理していますが、割増賃金率が異なる場合や、将来的な法改正を見据えた場合、あらかじめ別項目として集計できるよう設定しておくことが大切です。
実務でよくあるKING OF TIMEの設定ミス
設定代行の現場で遭遇する、KING OF TIMEの実務で陥りやすい設定ミスは以下のとおりです。
休日設定の不備による割増賃金ミス
KING OF TIMEでは、曜日ごとに休日区分を設定できますが、これを誤ると日曜出勤がすべて35%増(法定休日出勤)として計算されたり、逆に週40時間を超えた土曜出勤が割増なしで計算されたりといった事故が起きます。
「法定休日」と「法定外休日(所定休日)」の区別が曖昧にせず、また「週の起算日」の設定と併せて設定しましょう。
深夜残業の重複計算
22:00以降の労働については、通常残業(25%)+深夜手当(25%)=計50%の割増が必要です。
KING OF TIMEでは「深夜勤務」と「残業」がそれぞれ独立して集計されますが、給与ソフトへの連携時にこの項目を重複して取り込んでしまう、あるいは片方を漏らしてしまうという設定ミスが散見されます。
KING OF TIME「雇用区分変更」の運用ポイント
システムの運用が進む中で、就業規則の改定や法改正に伴う「設定変更」は必ず発生します。KING OF TIMEにおいて、変更作業以上に重要なのが「データの連続性」と「再計算」の処理です。
設定変更は「保存」で終わらない
雇用区分設定を編集して保存した瞬間、KING OF TIME上に警告が表示されるはずです。それは「過去の勤怠データには即座に反映されない」ということです。設定変更を過去の勤務(当月分など)に適用するには、「勤怠データ再計算」という工程が必須です。
これを行わないまま締め処理をすると、変更前の旧ルールで集計された給与データが生成されてしまいます。
履歴管理の重要性
大規模な組織変更などでルールが抜本的に変わる場合、既存の雇用区分を上書きするのではなく、新しいコードで「新雇用区分」を作成し、特定の日付で従業員を移動させる手法が推奨されます。
これにより、過去の勤怠記録を当時のルールのまま保存しつつ、新ルールへのスムーズな移行が可能になります。
まとめ:KING OF TIMEの設定はまず就業規則の確認から
KING OF TIMEの「雇用区分設定」を正しく行うための第一歩は、自社の就業規則や実際の運用ルールを正確に把握することです。
システムの設定画面に向かう前に、まずは以下の点を確認してみてください。
- 社内にどのような雇用形態があるか?
- それぞれの所定労働時間と残業の定義は何か?
- 休憩はどのように取得させているか?
もし、「自社のルールが複雑でKING OF TIMEにどう設定すればいいか分からない」「初期設定に不安がある」という場合は、ぜひ社会保険法人大旗にご相談ください。専門家の視点から、最適な設定をご提案させていただきます。

