最低賃金改定の給与計算はどうする?15日締め・20日締めをラクにする方法【KING OF TIME】

最低賃金が10月1日から変わるとき、15日締め・20日締めの給与計算はどうすればよいのでしょうか。結論から言うと、発効日以後の勤務には新しい最低賃金を適用する必要がありますが、会社独自の賃上げであれば、給与締め日に合わせて切替日を前倒しする方法も検討できます。

この記事では、最低賃金改定への対応とを明確に分けて解説します。KING OF TIMEの勤怠集計を活用しながら、Excelによる別集計や月途中の単価変更を減らしたい給与担当者の方に向けた内容です。

最低賃金の季節に、給与担当者が悩むこと

毎年、秋になると最低賃金の改定が話題になります。2026年度についても、中央最低賃金審議会から、地域別最低賃金の引上げ額の目安として、Aランク54円、Bランク56円、Cランク56円が示されました。目安どおりに改定された場合の全国加重平均は1,176円となる見込みです。ただし、これはあくまで目安であり、最終的な金額と発効日は都道府県ごとに決定されます。[1]

そのため、会社としては「今年はいくらになるのか」だけでなく、「いつから、その地域で働いた時間に新しい賃金を適用するのか」を確認しなければなりません。特に、15日締めや20日締めの会社では、賃金改定日と給与計算期間の途中が重なります。ここから、給与担当者の悩みが始まります。

たとえば、最低賃金の発効日が10月1日で、給与の締め日が15日だとします。9月16日から10月15日までの給与期間には、9月分と10月分の勤務が混在します。10月1日以降の勤務だけ新しい時給にするなら、勤務日を境に旧単価と新単価を分けて集計しなければなりません。20日締めであれば、9月21日から10月20日までが一つの給与期間となり、同じような作業が発生します。

10月1日から変えることにこだわりすぎない

最低賃金の発効日が10月1日であれば、原則として発効日以後の労働には、改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。したがって、発効日以後の勤務を旧単価で計算し続けることはできません。一方で、会社が最低賃金を上回る水準へ任意に賃金を引き上げること自体は、別途検討できます。

ここで私がおすすめしたいのは、給与締め日に合わせて、任意の賃上げを少し早めに実施する方法です。15日締めの会社であれば9月16日から、20日締めの会社であれば9月21日から、新しい時給を適用するという考え方です。もちろん、これは最低賃金の発効日前に会社が行う賃上げとして、就業規則や賃金規程、労働条件通知書、従業員への説明を整えたうえで実施します。

この方法なら、一つの給与計算期間の中で旧単価と新単価を分ける必要がなくなります。給与担当者は締め日までの勤務を一つの時給で計算でき、給与ソフトへの登録や検算もシンプルになります。KING OF TIMEから出力した勤怠データを給与ソフトへ連携する場合も、単価の切替日と集計期間が一致しやすくなり、Excelで対象日を抽出して再計算する作業を減らせます。

給与締め10月1日改定にした場合締め日に合わせて前倒しする例
15日締め9月16日~10月15日に旧単価・新単価が混在9月16日から新単価に統一
20日締め9月21日~10月20日に旧単価・新単価が混在9月21日から新単価に統一

ただし、前倒しは「事務処理を楽にするためだから、何でもよい」という話ではありません。既存の賃金規程との整合性、従業員間の公平性、契約更新のタイミング、社会保険や雇用保険の手続への影響を確認する必要があります。

キャリアアップ助成金との関係も早めに整理する

非正規雇用労働者の賃上げを検討する際には、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースも選択肢になります。このコースは、対象となる非正規雇用労働者等について、基本給の賃金等を一定割合以上増額改定し、実際に適用した場合に一人当たり40000円以上を助成する制度です。厚生労働省は、年度ごとのパンフレット、リーフレット、支給要領、申請様式、チェックリストを公開しています。[2]

10/1に最低賃金が改定される地域で、15日締、20日締の企業があるならそれはこの助成金申請にとても親和性があります。この助成金は最低賃金が発効する前に賃上げするところがポイントになるからです。

これが末締の会社ですと、月の途中で時給を変更するのは手間がかかりますから、10/1発行日の場合

9/1から時給を上げるとなると、1か月の負担増となりますが、15日締、20日締の企業ですと、15日、10日の負担増で済みます。

よく15日締、20日締の企業から、最低賃金の発効日との兼ね合いで、給与計算が煩雑になってしまうお悩みを相談されますが、それは見る観点を変えて、少し早く16日から、21日から時給を上げると、助成金申請のチャンスが大きくなるというメリットもあるのです。

まとめ|正確さと効率は、切替日の設計で両立できる

最低賃金の改定は、単価を変更するだけに見えて、勤怠集計、給与計算、従業員への通知、賃金規程、助成金申請まで連動するイベントです。とくに15日締め・20日締めの会社が、10月1日というカレンダー上の日付だけに合わせようとすると、給与期間の途中で単価が分かれ、Excelによる別集計や手作業の検算が増えがちです。

最低賃金の発効日を守ることを前提に、会社独自の賃上げを締め日に合わせて前倒しできるかを検討する。15日締めなら9月16日から、20日締めなら9月21日からという設計は、給与計算を単純化する現実的な方法の一つです。さらに、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コース申請も可能となります。

毎年の最低賃金改定を、担当者の手作業を増やす行事にするのではなく、助成金をも視野に入れる機会にしていきましょう。

よくある質問

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KING OF TIMEで最低賃金の変更を自動計算できますか?

KING OF TIME給与には適用日という機能があります。末締めの企業の場合、10/1を適用日として改定後の時給を登録しておけば、9月分給与は旧時給、10月分給与は新時給で自動で計算してくれるようになります。これなら1か月分を同じ時給で給与計算できるので、エクセルなどで別集計して調整する必要はありません。15日締なら、適用日を9/16として新時給登録、20日締なら9/21を適用日として新時給を登録して、最低賃金発効前でも1か月同じ時給で給与計算できるように設定することをお勧めします。

参考資料

  1. 厚生労働省|令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
  2. 厚生労働省|キャリアアップ助成金:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
  3. 厚生労働省|最低賃金制度:https://saiteichingin.mhlw.go.jp/
  4. KING OF TIME オンラインヘルプ|給与規定の設定方法:https://support.ta.kingoftime.jp/hc/ja/articles/20239635299097–%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E8%A6%8F%E5%AE%9A-%E3%81%AE%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E6%96%B9%E6%B3%95
大旗まや子
特定社会保険労務士・勤怠管理コンサルタント
KING OF TIME提供元である、ヒューマンテクノロジーズ社に2020年6月に入社後、サポート業務を多数の企業の導入に携わる。
ヒューマンテクノロジーズ社の資格取得の支援を受け、2023年に社会保険労務士試験に合格。2024年に特定社会保険労務士試験に合格。2025年4月に開業登録。
KING OF TIME(OEM製品含む)の仕様、活用方法など豊富なスキルと社労士としての法的知識を活かし、勤怠管理コンサルを中心に活動。
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